港区ちいかわの配当日記

グローバル人材、婚活、大谷翔平について語ります。現在、資産1億円目指して奮闘中です。

長期金利と株価との関係性 今のマーケットの置かれている環境の整理 (米国株、日本株共通)

こんにちは
港区ちいかわです。
今日は七夕ですね。もちろん株の上昇をお祈りしておきました。最近は米国株がすごく好調です。
2021年7月6日(7日朝)時点NY市場は
NYDOW: 34577.37
NASDAQ: 14663.64
S&P:4352.34
Nasdaqは市場最高値を連日更新しています。個人投資家の皆様にはこの数週間のハイボラティリティ相場の中で狼狽買いや狼狽売りをしてしまい、損を出された方、または利確、売却がうまくいきFx並みの利益を出された方もいるでしょう。
ただ相場がマクロ経済の影響が大きく受ける場合は個別株の強さなんてほぼ関係ありません。しかし、テクニカル、ファンダメンタルの面から見ても一度記録した株価にはいずれ必ず戻ってくるため損をしないためには売らないこと、安く買い続けることが一番重要なのです。
 しかしながら、株価を決定する要因はバリュエーション(株式価値算定)です。株価とは本来、大勢の人から見てその会社の価値を表す指標ですがM&Aや投資の実務では上場企業株価を参考にするものの、そのままの株価で取引することは滅多にありません。企業の財務、事業計画、無形資産などを加味して様々な視点から買い手、売り手の交渉を通じて初めて投資資本が決定されます。とどのつまりバリュエーションがわかりさえすれば所有している株式が今どれ程過剰、もしくは過少に評価されているのかが定量的にわかり不安な気持ちを払拭することができます。
(ついでにこの考え方は普段の生活にも置き換えることができ世の中の物事をより深くりかいできるようになります!)
 上記株価を決定する中で重要なのはバリュエーションとありましたが、そのバリエーションの中でも重要な考え方がWACCです。下記にもある通りFCF(決算資料や有価証券報告書などでよく見る営業キャッシュフロー、財務キャッシュフロー、投資キャッシュフローの合計値です、厳密にはもう少し別の指標を加減算しますが大体は以下の式になります)をWACCで割り引くことで企業価値(株価に近い数値)が算出されます。
FCF=営業キャッシュフロー+財務キャッシュフロー+投資キャッシュフロー

企業価値=FCF(1年目)/(1+WACC)+FCF(2年目)/(1+WACC)^2+......

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WACCはWeighted Average Cost of Capitalの略称です。WACCは企業が事業を行う上で必要な資金の借り入れや株式調達など資本調達にかかるコストを加重平均したものです。
企業の資金調達の方法は、大きく分けて2つに分けられます。
1つは銀行などのからの借入(負債)で、もう1つは株主からの出資(株主資本)です。この2つの方法を駆使して、企業は資金を集めます。ただ、どちらの資金調達方法でも一定のコストが発生します。
借入であれば、債権者への利子の支払い、株主資本であれば株主への配当などが挙げられます。これらのコストを総合的に捉えたのがWACCとなります。
画像による説明だと以下の通り
 
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WACCの計算式は以下の通り。
WACC=(1-実行税率)×(負債コスト×有利子負債/有利子負債+株主資本)
+(株主資本コスト×株主資本/有利子負債+株主資本)
負債コスト=支払利息/有利子負債
株主資本コスト=Rf+β(Er-Rf)
文字に意味について順に解説します。↓
Rfは「リスクフリーレート(10年物の国債)」のことです。
リスクほぼ皆無に等しい金融商品から得られる利回りを指します。長期国債による利回りがこれにあたります。コロナショック前(2020年2月時点)の日本の長期国債の場合はほぼ0%、米国は2.0-2.5%くらいでしょうか、現在(2021年7月時点)は1.35%で昨年の一番低い時では0.6%程度でした。
なぜこちらリスクフリーレートが10年目の国債を利用しているかというと、パナソニックソニーのような大企業は置いといて、普通の企業のビジネスサイクル、厳密にいうと平均10年くらい会社としでまともに゙存続してくれるかなという点につきます。
まともというのは一概に難しいですが図のような成熟期ですかね。。。
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なので、アメリカでは法人税など企業にやさしいため企業がサバイブできる期間が長く20年債をリスクフリーレートとしてみなすこともあります。
現在のマクロマーケットにおける金利上昇はこのリスクフリーレートの底上げ、下げに関係するので簡単には下記の関係が成り立ちます。
金利が上がる場合→割引率が上がり、企業価値が下がる
金利が下がる場合→割引率が下がり、企業価値が上がる
 
これだけですべてが決まるわけではないのですがマクロ的にはこんな感じです。
βは「ベータ値」と呼ばれているものです。上場している株式市場全体の値動きと、対象企業の株価変動を比較した数値です。ベータ値は、ロイターまたはブルームバーグの株式市場のページに記載されているので、自身で計算を行う必要はありません。行う場合、実際の業務では2年週次βをよく使用するので2年分の対象企業の株価の終値TOPIXの値を比較し、これらのデータから予測したy(TOPIX)=α+βx(株価)の関係式に当てはめて検証する回帰分析を行う(最小2乗法)
β=(xとyの共分散)÷(xの分散)
Er(エクイティリスクプレミアム)の数値は各数値、分析機関によってやや数値が変わってくるため、株主資本コストは同じ企業でも変わってくることがあります。これは、株主資本コストの性質上やむを得ませんが日本市場の場合、配当金込みのERは大体6.0%です。(米国は7.0%ぐらい)
WACCの計算で有利子負債にかけられていた「(1-実効税率)」について、こちらも詳細見ていきましょう。WACCの計算でなぜ有利子負債にのみ「(1-実効税率)」の値がかけられるのでしょうか?利息の支払い自体が「損益計算書」に含まれるため節税効果が生じるためです。支払い利息は損益計算書の費用項目であり、最終的には当期純利益を算出する前に利益と相殺されて「節税」を生み出します。税引前利益が200億円で実効税率が30%の場合は法人税は60億円となります。しかし、支払利息が40億円存在していた場合、最終的な税前利益は160億円となり法人税は48億円となります。
つまり12億円分の節税効果があるので、実質的な支払い利息による損失は28億円(=40億円12億円)となります。
(1-実行税率30%)×40億円 =28億円
「支払利息があると節税になる」というのはWACCのみではありません。細かい所では上記βの計算時にもDEレシオが影響するレバレッジリスクを組み込まなければいけませんが今回は割愛します。

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参考)実際の企業価値算出過程

<まとめ>
株価にはもちろん会社ごとの個別事象も大きいですがそれ以上に政治、マクロ経済(金利)などが大きく影響します。金利1.0%の違いは企業の事業計画にもよりますが、株価を20%以上も左右する可能性があります。それだけに日本、米国、欧州の異次元低金利の現在の相場は株にとって非常に追い風です。2023年、早ければ2021年冬にはテーパリングが予定され金利上昇(2.0%以上)も見込まれていますが、それ迄にどれだけ余裕を持って資金管理、仕込めるかが長期投資家にとっては一つのカギになってくるでしょう。
以上簡単ですが長期金利と株価との関係性でした。
ではでは